“目立つ”社協をめざして

全国社会福祉協議会の広報『NORMA』誌3月号への寄稿依頼があり(1600字ぐらい)、書いてみました。「いきいきちいき」のシリーズで裏表紙全面に入るのですが、字が小さいので、読む人はあまりいないでしょう。ブログもそろそろ新しくと思っていたので…ご関心あればお暇な時にお読みください。

福祉を遊ぼう、
  その輪の中にみんなを 地域を

信頼でつながり、役割において生き合う
 私たちの山中比叡平学区は、比叡山を回りこむように京都から大津へ、琵琶湖岸と京都白川とを結ぶ古来からの道《山中越え》のちょうど峠を登りきったあたりにあります。京都の市街に出るにも、大津の市街に出るにも、バスで350円かけて民家のほとんどない道を10分ほど下って行かなくてはなりません。世帯数千三百余というこじんまりした地域で、千年という歴史のなかで独自の文化・伝統を培ってきた山中町(五十数戸)と、たかだか四十数年前に開発された比叡平の2地域から成っています。これら対照的なふたつの地域が絶妙に生き合っている、したたかな共同体の知恵と多様で開放的な考え方とが、たがいに自分にはない大事なものを相手の中に見いだし、信頼と敬意でつながり生き合っているのです。

目立つ社協をめざす

そんな中で学区社協は、少数のお年寄りや子どもたちのために、知る人しか知らないような地道な活動を根気よく続けてきたのですが、これでは楽しみも喜びも自分たちの中だけで小さく完結するものでしかありません。そこで、会長になってまず考えたのは、これら福祉委員や社協のボランティアを〈縁の下〉から引っぱり出して、もっともっと大きな舞台に乗せて思いっきり踊ってもらおう、ということでした。つまり、“目立つ”社協をめざす、です。その具体的な手だては、
1)広報「学区社協だより」を月1〜2回出し続けること。この広報の効用は、①出し続けるということは「やります」「やりました」と言い続けることですから、いかなグータラ会長でも働き続けざるをえません。②全戸配布の広報によって、人、モノ、金、情報、善意が集めやすい。③は何と言ってもこれが一番の効用。広報を出し続けていると、10のことをやっても100やっていると、地域のみんなが勘違いしてくれる。ズバリ 目立つからです。
2)次には、より大きな舞台でということで、学区全体での夏祭りなど4大事業に模擬店(出会いの場づくり)で参加することにし、ひときわでっかい真っ赤なテントを買いました。この赤テントの下ではなぜかみんな美男美女になって、元気に歌い、踊り、笑います。

●真っ赤なテントで社協ボランティアが鮮烈デビュー
3)毎年お年寄りひとりにつき現金2千円をお渡しし無理矢理「ありがとうございます」と言わせてきたのをやめて、地域通貨でもある〈福祉サービス券〉4枚をお渡しすることにしました。この福祉サービス券を使って社協が紹介するボランティアに庭の手入れ、買物や病院への付添いなどを頼むことができる。頼みやすい頼まれやすいということで、新人ボランティアの颯爽たる地域デビューと、地域に〈優しい心〉を流通させます。頼みたいことなんか無いわという元気な人には、この〈通貨〉で米を買ったり焼肉を食べたり、自治会費、共同募金、社協賛助金、NPOの会費やサークルの参加費などに充てられてはいかがですか、と。
4)みんなから喜ばれ、喜ぶ顔を見てボランティアが遊ぶ、なおかつその上に儲かるという〈ベンリャ―ビジネス〉の予行演習を始めました。《やまひ(山比)楽市楽座・金曜カフェ》です。100円の食事は赤字ですが、ほかにいろいろなものを売って初年度は35万円の黒字でした。それを自分たちで考えた良いことに使って、地域、小学校、ブラジル人学校、スポ少、赤い羽根などから感謝されています。ますます舞台もひろがって、みんなもますます元気です。


●ある日の≪やまひ楽市楽座 金曜カフェ≫
そんなこんなですが、もう紙数がなくなりました。
そう! これからも私たちは“目立つ”社協を目指します。

OUTLINE
山中比叡平学区社会福祉協議会 (2011年1月1日現在)
人口    3,159人  世帯数 1,330世帯
高齢化率  23.3%   自治会数 5
役員・理事 26名    福祉委員 28名
主な事業  広報、ふれあいサロン、さわやかクラブ、にこにこキッズ、陽だまり楽習会、福祉のまちづくり講座、やまひ楽市楽座金曜カフェ、世代間交流広場、など