近藤仁之『ラテンアメリカ銀と近世資本主義』

 もうかなり前になりますが、飯沼二郎さんのご紹介で、スペイン在住の著者近藤仁之さんと出会いました。人と人とが出会えば“ドラマ”が生まれる 本ができるまでにずいぶん時間がかかってしまいましたが、そのとおりに、ひとつのドラマでありました。
 本の紹介――植民地時代のラテンアメリカ銀山が、近世ヨーロッパ資本主義の成立と発展に寄与した絶大な役割について実証的な観点から解明する労作は、いまだ皆無と言ってよい。著者は30年以上にわたってマドリッド・アウトノマ大学で「世界・スペイン社会経済史」を講じるなか、このラテンアメリカ銀が初期にはスペインをとおして、後にはピレネー以北のヨーロッパに流れ、そこで資本の蓄積を可能にしたという事実を広角的な視野から、また、スペイン史、ラテンアメリカ史、ヨーロッパ史を包括する広大な論理体系として構築して見せる。
 著者の紹介――こんどうよしゆき:1931年堺市生まれ。早稲田大学大学院、その間スペイン政府留学生としてマドリッド大学留学、その後、国立アウトノマ大学博士課程修了、同大学教授を経て、現在同大学名誉教授(マドリッド在住、経済学博士)
主要著書 スペイン語著作の他には、『スペインのジプシー』(人文書院、1995)、『スペイン・ユダヤ民族史』(刀水書房、2004)など。
行路社刊 A5判上製208頁 本体価格2600円 ISBN 9784875344261

はじめに
第1章 新世界で起こった人種革命
第2章 原住民インディオ対策の大筋
第3章 初期の鉱山開発(16世紀)
第4章 困難に直面するラテンアメリカ鉱山業(17世紀)
第5章 18世紀におけるブルボン諸改革とラテンアメリカ鉱山業
第6章 繁栄に転じたラテンアメリカ鉱山業(18世紀)
結びに代えて
                  主要文献目録